2025年12月7日、オーストラリアのバッセルトンで開催された「IRONMAN Western Australia Asia-Pacific Championship」で、古谷純平選手が日本のトライアスロン史に残る偉業を成し遂げました。
スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195kmという過酷な距離を、7時間43分04秒で完走。日本人として初めて8時間の壁を破る「サブ8」を達成し、男子プロカテゴリーでも3位に入りました。世界のトップ選手が集まる舞台で表彰台に立ったことも含め、日本のトライアスロン界にとって非常に大きな快挙です。
古谷純平選手のこれまで
古谷純平選手は、1991年5月18日、高知県生まれのプロトライアスリートです。
小学生までは水泳に取り組み、中学・高校では陸上競技の中長距離種目で経験を積みました。高校2年生の冬に父親の勧めでトライアスロンを始め、大学では日本学生選手権を2連覇。日本U23選手権でも優勝を果たしています。
2015年には日本選手権で初優勝し、2016年から2018年までジャパンランキングで3年連続1位を獲得しました。2018年のアジア競技大会では、男子個人とミックスリレーの両種目で金メダルを獲得。長年にわたり、日本を代表する選手として世界の舞台に挑み続けてきました。
その後、古谷選手はロングディスタンスへと新たな挑戦の場を移します。2025年には全日本トライアスロン宮古島大会で優勝し、佐渡国際トライアスロン大会を兼ねた日本ロングディスタンス選手権でも優勝しました。
長年積み重ねてきた経験と努力を、競技時間も距離も大きく異なるロングディスタンスの舞台でも結果につなげていることに、古谷選手の高い競技力と挑戦への覚悟を感じます。
7時間43分04秒という驚異的な記録
古谷選手が記録した各種目のタイムは、スイムが46分20秒、バイクが4時間03分24秒、ランが2時間45分53秒でした。
スイムは100mあたり約1分13秒のペースです。180kmのバイクは平均時速約44.4kmで走り、その後のフルマラソンでも1kmあたり約3分56秒のペースを維持しました。数字だけを見ても、その速さは圧倒的です。
しかし、アイアンマンの本当の厳しさは、それぞれの種目を単独で行うのではなく、長時間にわたって連続して行う点にあります。3.8kmを泳ぎ、180kmのバイクを平均時速44kmを超えるペースで走った後に、フルマラソンを2時間45分台で走り切る。想像することさえ難しいほどの身体的、精神的な負荷の中で、このペースを最後まで維持したことに、ただ驚かされます。
古谷選手はスイムを上位で終えると、バイクでも世界のトップ選手たちとともにレースを展開しました。最後のランでも粘り強い走りを続け、3位でフィニッシュしています。
優勝したキャメロン・メイン選手のタイムは7時間38分26秒、2位のケイレブ・ノーブル選手は7時間42分43秒でした。古谷選手と2位との差は、わずか21秒でした。
日本人初のサブ8という歴史的な記録を達成しただけでなく、世界のトップ争いの中で表彰台を獲得したことが、この結果のすばらしさをより一層際立たせています。
サブ8という世界
アイアンマンは、合計約226kmを一日で走破する競技です。完走すること自体が大きな挑戦であり、多くの大会では17時間前後の制限時間が設けられています。
その距離を8時間以内で完走する「サブ8」は、男子プロ選手の中でも限られたトップアスリートだけが到達できる領域です。
古谷選手は、8時間という大きな壁を破っただけでなく、そこからさらに16分以上速い7時間43分04秒を記録しました。日本人として初めてサブ8を達成したという歴史的な意味はもちろん、世界のトップ選手と正面から競い合えることを、その走りで示した記録でもあります。
世界への挑戦は続く
この大会での3位入賞により、古谷選手は2026年にハワイ島コナで開催される「IRONMAN World Championship」のプロカテゴリー出場権を獲得しました。日本の男子プロ選手としては、戸原開人選手以来9年ぶりのコナ出場となります。
ショートディスタンスで長年日本を代表し、世界に挑み続けてきた古谷選手が、新たに選んだロングディスタンスの舞台でも、日本人として初めての記録を打ち立てました。これまでの実績にとどまることなく、新たな距離、新たな舞台に挑戦し続ける姿勢には、競技者でなくても心を動かされるものがあります。
7時間43分04秒。
この記録の裏には、私たちには想像もできないほどの練習や準備、苦悩、そして積み重ねがあったはずです。日本人として初めて8時間の壁を破り、世界のトップ選手たちと競い合いながら表彰台に立った古谷純平選手。その歴史的な偉業に、心から敬意を表します。


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