#21 梅干しが甘く感じた、灼熱の107km

IRONMAN

執筆者:KM&TYO

第41回彩湖道満トライアスロン――完走の喜びと、残り約4kmで終わった挑戦

梅干しが甘く感じました。普段であれば、強い塩味と酸味を感じるはずです。しかし、灼熱の中で100km近く動き続けた身体には、給水所で口にした梅干しが、不思議なほど甘く感じられました。それほどまでに、身体は水分と塩分を失い、疲れ切っていたのだと思います。

第41回彩湖道満トライアスロン大会。スイム1.5km、バイク82km、ラン23km強、合計約107km。この過酷なレースで、KMは6時間30分の制限時間内に完走しました。一方、TYOはランの19km地点で制限時間を迎え、ゴールまで残り約4kmのところで挑戦を終えました。

完走の喜びと、あと少し届かなかった悔しさ。9月に控えるアイアンマンを前に、僕たちは自分たちの現在地を突きつけられることになりました。

アイアンマン前、最後の大きな試練

今回のレースは、僕たちにとって単なる一つの大会ではありませんでした。9月に控えるアイアンマンに向けて、これまで経験したことのない距離に挑み、自分たちがどこまで通用するのかを確かめるための、いわば「最後の大きな試練」でした。

今回の距離は、スイム1.5km、バイク82km、ラン23km強。合計すると約107kmです。これまで経験してきたトライアスロンとは、明らかに別物の距離でした。

さらに、彩湖道満トライアスロンは、酷暑、単調な周回コース、湖の透明度の低さなどから、経験者の間でも過酷なレースとして知られています。そして、制限時間は6時間30分。初心者の僕たちにとって、決して余裕のある設定ではありません。アイアンマンに挑戦する前に、自分たちの現在地を知るには、これ以上ないレースでした。

視界の利かない湖で迎えた、最初の関門

スタートの合図とともに、選手たちが一斉に湖へ入っていきます。今回のスイムは、彩湖を縦断するように泳ぐコースです。普段練習しているプールとは、環境がまったく異なります。周囲には大勢の選手がいて、前後左右から人が迫ってきます。水中の視界も悪く、思うように前へ進めません。

さらに、スイムには35分という制限時間が設けられていました。現在の僕たちの実力を考えると、かなり厳しい設定です。

追い打ちをかけたのが、ウェットスーツによる暑さでした。真夏の強い日差しの中、ウェットスーツを着て泳ぐことで、想像以上に身体へ熱がこもります。泳いでいる途中から身体に異変を感じ、熱中症のような症状も出始めました。

「ここで無理をしたら危ない」

そう思いながらも、少しずつ前へ進みます。苦しくても泳ぐ。再び苦しくなっても、腕を回す。その繰り返しでした。そして、なんとか1.5kmを泳ぎ切り、最初の関門を突破しました。

終わりの見えない82km

続いては、82kmのバイクです。これも、僕たちがこれまで経験したことのない距離でした。コースは、土手の上と下の道を何度も周回する形です。一見すると走りやすそうに見えますが、実際に走ってみると、想像以上に過酷でした。

何より厳しかったのは、日陰がほとんどないことです。照りつける太陽の下を、ひたすら自転車で走り続けます。同じ景色を何度も繰り返し、進んでも進んでも、まだ先が残っています。

周囲の選手たちは速く、僕たちは次々と抜かされていきました。「やはり、自分たちはまだまだだ」と感じる瞬間が何度もありました。

それでも、ここで止まるわけにはいきません。アイアンマン本番では、今回の倍以上となる180kmを走らなければなりません。そう考えると、今回の82kmは、絶対に経験しておかなければならない距離でした。

速く走れなくても、止まらずに前へ進む。それだけを意識し、ひたすらペダルを踏み続けました。そして、なんとか82kmを走り切り、最後のランへと移ります。

梅干しが甘く感じた、最後の23km

バイクを終えた時点で、身体はすでにかなり消耗していました。しかし、ここから最後のランが始まります。距離は23km強。普段のトライアスロンでは経験しない長さです。相変わらず、太陽は容赦なく照りつけています。

「ここから、さらに23kmも走るのか」

そう考えるだけで、気が遠くなりました。それでも、僕たちは走り始めます。最初から飛ばすのではなく、ペースを落としてでも足を止めないことを意識しました。

今回、特に助けられたのが、約2.4kmごとに設置された給水所です。コーラ、スポーツドリンク、梅干し、塩分タブレットなどを補給し、暑さで失われていく水分と塩分を補いながら、一歩ずつ進みました。

中でも印象に残っているのが、給水所で食べた梅干しです。普段であれば、強い塩味や酸味を感じるはずの梅干しが、そのときは不思議なほど甘く感じられました。自分の身体が想像以上に消耗し、補給を求めていることを、味覚を通じて実感した瞬間でした。

途中で何度も、「もう歩きたい」「あと何kmあるのだろう」と思いました。それでも、「ここで止まっていたら、アイアンマンは完走できない」と自分に言い聞かせます。アイアンマンでは、この先にさらに長い距離が待っています。今回のランは、そのための練習でもありました。

速くなくてもいい。格好悪くてもいい。とにかく前へ。一歩ずつ、足を動かし続けました。

完走の喜びと、19km地点で終わった挑戦

長く過酷なレースの末、僕たちはそれぞれの結果を迎えました。KMは、6時間30分の制限時間内にゴールし、無事に完走することができました。

一方、TYOも最後まで懸命にレースを続けましたが、ランの19km地点で制限時間を迎えました。ゴールまで残り約4kmというところで、惜しくも完走には届きませんでした。

その時点で、身体は疲れ切っていました。制限時間に間に合わせるためにスピードを上げる体力は、もう残っていませんでした。しかし、不思議なことに、ゆっくりとしたペースのままであれば、もう少し走り続けられる感覚はありました。

制限時間内にゴールできなかった悔しさは残ります。それでも、1.5kmのスイムと82kmのバイクを終えた後、灼熱の中を19km走り、なお前へ進める感覚が残っていたことは、完走できなかったなりに得られた大きな収穫でした。

アイアンマン本番で必要になるのは、短時間で速く走る力だけではありません。長時間にわたって、身体を動かし続ける力が必要です。今回のレースを通じて、その力が少しずつ身についていることを実感できました。

結果は異なりましたが、二人とも、この過酷なレースに最後まで挑み続けたことに変わりはありません。完走できた喜びも、残り約4kmで終わった悔しさも、最後まで動き続けられた手応えも、これからのアイアンマン挑戦に必ずつながると思います。

灼熱の107kmで見つかったもの

今回の彩湖道満トライアスロンは、間違いなく、これまでで最も過酷なレースでした。厳しい暑さ、経験したことのない長距離、変化の少ない周回コース、6時間30分という制限時間、そして自分たちよりもはるかに速い選手たち。すべてが重なり、身体的にも精神的にも苦しい一日となりました。

しかし、過酷だったからこそ、得られたものも大きかったと思います。一つは、「この距離でも戦える」という自信です。そして同時に、「アイアンマンを完走するためには、まだまだ強くならなければならない」という現実も突きつけられました。

スイムのスピード、バイクの巡航力、暑さへの対応、補給の方法、ランの持久力、そして長時間動き続けるためのペース配分。今回のレースで見つかった課題は山積みです。

ただ、アイアンマン本番まで残された時間は、決して長くありません。ここからは、彩湖で見つかった課題を一つずつ潰していくしかありません。完走できた喜びも、あと少し届かなかった悔しさも、そして身体を動かし続けられた手応えも、すべてを次につなげたいと思います。

僕たちの挑戦は、ここからが本番

アイアンマン本番で待っているのは、3.8kmのスイム、180kmのバイク、そして42.195kmのランです。今回よりも、はるかに長く、厳しい距離です。

正直、今の段階で「絶対に完走できる」と自信を持って言うことはできません。それでも、ここまで来たからには、やるしかありません。

残された期間で最後の追い込みをかけ、少しでも強くなって本番を迎えたいと思います。課題は山積みです。それでも、一つずつ乗り越えていく。

彩湖で得た自信と悔しさを力に変えて、僕たちは9月のアイアンマンに挑みます。

この挑戦を、一緒に走ってくださるスポンサーを募集しています。

私たちの活動や、スポンサーとして応援いただける内容についてご紹介しています。

スポンサーについて詳しく見る

コメント